HERZ 40th Anniversary
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創業者と二代目による、ざっくばらんなHERZ談

2013年9月、HERZ(ヘルツ)創業者の『近藤 晃理(こんどう あきまさ)』から『野口 裕明(のぐち ひろあき)』に代表が変わりました。二人ともモノ作りが大好きということで、かしこまった対談ではなく、新店の大工仕事をしながら二人が何気なく話している様子を皆さんにお伝えします。(今後、近藤は会長という役割でHERZに携わることになります)

  1. vol.1 近藤の好奇心が決め手!?の代表交代
  2. vol.2 全員が「作る」という共通認識をもつ
  3. 番外編 定番商品とは「HERZらしい」とは

近藤の好奇心が決め手!?の代表交代

近藤
こないだも二人で呑みに行ったけど、
全然話しなかったよね(笑)
野口
そうですね。
今まで色々と話し尽くしてきたんで、
行き着くところはいつも同じというか(笑)
近藤
うん。
別に仲悪いわけじゃなくて、社長業っていうのは、
基本的に絶対大変だと僕は決めつけてるから、
その愚痴とかさ、ポロっと出る何かを“ツマミ”にして
酒でも飲もうかと。
でも、ほとんど会話なかったよね!!(笑)
野口
はい。しかも、今回みたいに皆さんにお届けする話となると、
正直、何を話せばいいのかなって考えちゃう。
近藤
右に同じく。
野口
ちょっと話が進まなそうなので、僕が切り込みますね!!
僕が言うのも可笑しいですが、二代目はなんで僕だったんですか?
近藤
これも呑みながら散々話したよね(笑)
うーん。そうだね。
要は僕と「真逆」だったから。
僕自身も社長業を長い間やってきて、
会社を「経営+集団」としてとりまとめる、
引っ張ってく上で、欠けている部分があると思ってるの。
自分なりのやり方はあるけど、
それは長い時間をかけて実感したことであって。
どっちがいい、悪いじゃないけど、
近藤の語り
 
僕は好奇心旺盛だから自分に欠けているものを持っている人が
このHERZ(ヘルツ)を引き継いだらどうなるんだろう!!って
いう単純な興味。
一番の決め手はそこだったんだよ!!
一番の決め手は単純な好奇心
野口
なるほど。これも僕が言うのも変ですが、
「それでいいんですか!!」と、突っ込みたくなります(笑)
けど、近藤さんにそう言われると、妙に納得します。
具体的に言うと、どこが真逆なんですかね?
近藤
「計画的」。
野口君の感情はけっこう僕並に豊富だけど、それを抑える力を持ってる。
「衝動的じゃない」ってところ。
HERZが生き残るためには、僕が今までやってきたことを、
そのまま踏襲すれば上手くいくとは、とてもじゃないけど思えない。
それに、そこだけを引き継いで安泰でいてほしいとも思わない。
今までの自分にそんな自信もないしね。
誰がやっても、ダメなときはダメ、良いものは上手くいく。
世の中そんなもんだと思うよ。

でも、その「方法」は誰にも分からない。
変な話、誰がやっても、「一生懸命やってくれさえすれば」
上手くいくと思うしかないんだよね!!

だから、その方法は「無し」で、
僕の好奇心で自分と真逆の人にしてみたっていうこと。


全力でやって、みんな楽しくて、それでもつぶれちゃったなら、
それはもう仕方ない。
棚についてあれこれ語る二人
近藤
「安泰」って「好奇心をそそらない」。
僕には、自分と同じタイプなんて魅力ないもん。


歳食うと安定を望むもんだけど、僕からしたら、
もう後がないんだから、冒険すればいいじゃんって思う。

どうなるか分からない方が面白いよ。
どうなるか分からない方が面白い
野口
今の近藤さんの話ですけど、
僕は安定・安心したい方かな。
でも、ずっと安心しないと思う。
「安心」って、気持ちじゃないですか。お金もあって、精神
的にも色々整ってる。
そんなものにゴールなんてないのに、ずっと追い求めてるの
もしんどいかなって。
近藤
やっぱり僕っておかしいかな!?
もう60台後半だけど、未だに好奇心が衰えない(笑)
野口
その少年のような心持ちが羨ましいです。
近藤
話変わるけど、野口君はなぜHERZに入ったの?
野口
なにかをつくる仕事がしたくて。
HERZに入る前、靴屋さんで靴作りを教わってて。
少しかじった程度ですけど。
そのときに、とても楽しいけど、自分には趣味かもと思って。
HERZは元々知っていて、それからご縁があって働く形にな
りました。
近藤
これ、他の人にもよく聞くんだけどさ、
入った当初はHERZどんな印象だった?
野口
そうですねー。
HERZはとにかく元気がありますね。
人もそうだし、会社という組織としても元気ハツラツって感
じです。
近藤
それは昔もだけど、よく言われたな~。
僕の自慢でもあります(笑)
HERZの鞄作りについて
近藤
実際にうちの鞄作ってみてどうだった?
やっぱり靴作りとは勝手が違う?
野口
HERZは全然違いますね!!
手縫い・手作りの世界って、例えば何枚も重ねたコバ(革の
切り口)を如何に1枚に見せるかっていうのに心血を注ぐじ
ゃないですか。
HERZは、そういう考えではない。
近藤
それも昔からよく言われた(笑)
でも僕からしたら、厚い革の方が断然縫うのが難しくて、
大変な思いして作ったのに、なんでそれをわざわざ1枚に
見せなきゃいけないんだよ、って思いながら作ってた。
コバ磨きについて独自の考えを語る近藤
野口
僕も、靴作りを学んだことでコバの知識はあったけど、
いざ自分で物を買うときには、コバがとてもきれい、とか
1枚に見える、とかはどうでもいいことでした。
顔料もキライ、何かでコーティングされている革もキライ、
HERZの素材が好きだった。
自分がいいな、って思うのに近かったんです。
近藤
それは僕も思う。
だから革に関しては、HERZならではの自然な表情を大切に
している。
キズとかヨゴレは付きやすいけど、それも含めて味になる。
野口君はラティーゴ(ハードレザー)が好きなんだっけ?
野口
どちらかと言うと、僕はスターレ(ソフトレザー)ですね。
実際、HERZに入る前からお財布も使っていましたし。
近藤
え、どれ?
野口
いまはもうない品番ですけど。
でもその作りを元にして生まれたのが
ホック留めジャバラ長財布(WL-55)です。
ホック留めジャバラ長財布(WL-55)※この商品はラティーゴレザーです
近藤
良い味出た?
野口
もちろん出ましたよ。
今は大阪店で社内事務用の備品として使ってもらっています。
近藤
使っていくと確かな手応えがある革。
でもこれ、作る側も手応えあるんだよね。
創業時は分厚い革のラティーゴしかなかったからさ、
作るのも、それは大変だよ。
今みたいに機材も揃ってなくてさ。
色々試行錯誤した結果、今の形になった。

とにかく丈夫であること。
HERZの鞄はそこから始まったんだよね。

次回はHERZで大事にしている「作ること」について二人が色々話します。

  1. vol.2 全員が「作る」という共通意識をもつ
  2. 番外編 定番商品とは「HERZらしい」とは