トランクヒストリー2~増澤&清水のおはなし~

トランクヒストリー2~増澤&清水のおはなし~

トランク(TR-1)の定番化までの歴史を辿ったトランクヒストリー。

前回のトランクヒストリー1で述べたように創業者:近藤はトランク作りをスタートさせましたが、心半ばストップしてしまいます。

このトランク制作は、また別の作り手の手でリスタートを切って行くのでありました。
そんな今回は、作り手:増澤と清水のお話。

 

トランク制作意欲が再燃。そして次の作り手へ

時は流れ、2001年ごろ。
とあるトランクの修理依頼がヘルツに舞い込みます。映画の撮影にも使われていた、ちょっと有名なトランク。依頼された修理内容は、取っ手の交換。しかし、それがとても難しく、誰でもできるというものではありませんでした。

そこで、現在は仙台店の作り手である増澤が修理を担当することになりました。
ヘルツに入社する前から手縫いなどで鞄を作っていた経緯があり、その技術力を買われての抜擢です。
(当時のヘルツは、渋谷にしか工房と店舗がありませんでした。)

仙台店作り手:増澤

仙台店作り手:増澤

増澤:
「修理が舞い込んだそのトランクを見て、近藤さんがトランクへの気持ちを思い出したんだろうね。トランク作ろう!ってなって、俺に声がかかったんだ。それで『じゃあ、やってみようかな』って。」

という訳で、増澤のトランク作りがスタート。
しかし、ここでもなかなか上手くいかず、完成に至りません。

それでも増澤は試行錯誤を繰り返しながら作り続けます。その情報量は、ノート一冊に及ぶほど。

トランクについてまとめた増澤のノート

当時のトランク用ノート。現在も増澤が保管していました。

 

トランクについてまとめた増澤のノートの内部

当時のいろいろなアイデアが書かれています。

増澤:
「トランクの知識がないから、いろんなトランクを見たし、修理が舞い込んだそのトランクもたくさん見たよ。」

仙台店作り手:増澤

増澤:
「その当時、トランクの芯材にベニヤ板を使っていたんだけど、加工性が悪くて良くなかったんだ。他にもいろいろ試してみたんだけど、最終的にはベルポーレン(樹脂板)に落ち着いたんだよね。」

昔増澤が制作したトランク

当時、増澤が制作したトランク、現在は非売品として本店のディスプレイになっています。

 

増澤から清水へ、一度は完成したトランク

時を同じくして、増澤は大学の友人でもあった、現在仙台店の店長である清水をヘルツに誘います。
清水は当時、自身で革細工などをやっていたこともあり、ヘルツへの入社を快諾します。

入社後は、誘ってくれた増澤にヘルツでの制作のイロハを教わります。

そして1年が過ぎたころでした。増澤が、自身の事情から一度ヘルツを辞めることになり、トランク作りを続けることが難しくなります。

仙台店店長:清水

仙台店店長:清水

清水:
「その時、増澤さんがやってたトランクづくりを近藤さんから、『引き継がないか』って言われて、興奮して喜んだなぁ。まだ入って間もない俺を抜擢してくれたんだからね。誇らしかったし、何としてもやり遂げようと思った。」

増澤から清水に引き継がれた時点で、トランクの基本的な形は出来上がっていました。
清水は細かいところを詰めていき、ようやく完成に漕ぎ着けます。

清水が作り近藤へプレゼントしたトランク

清水が制作し、近藤にプレゼントしたトランク。近藤は今でも大切に使っているそうです。

清水:
「引き継いでからラインナップを完成させるまで、試作品を山のように作ったんだけど、あまりに大変でノイローゼになるかと思ったよ(笑)。」

そして、販売を開始したトランク。

昔のカタログの一部

当時のトランクカタログの一部。サイズや種類がいくつかありました。

高額商品なので、飛ぶように売れたわけではありませんが、気に入って買ってくれる人も現れてきていました。ところが・・・

 

清水の気持ちと安定して入ってこない錠前

販売できるまでに完成していたトランクではありますが、清水は「もっと良くできる」と思っていたようです。

清水:
「完成はしたけど、気になるところがあってね。それがどうしても…積極的に売り出そうって気持ちになれなくて。」

この気持ちは近藤も同じだったようで、当時のことをこう言っていました。

近藤:
「気になるところがあるものは、あんまり品番つけて本格的にっていうのは、ちょっと違うなって思ってね。品番をつけて看板にしたかったんだけど、そこを処理しない限り、ダメだなって。」

仙台店店長:清水

清水:
「あと、トランクを作るのは長丁場になるし、集中力も必要になるから、すごく大変だった。」

清水のトランクは、文字通り清水にしか作れませんでした。
さらにその当時は、他の鞄の製作をしながら合間にトランクを作っており、その大変さは想像を絶するものでした。

また、トランク製作に必要不可欠な、錠前。これが曲者だったのです。

昔仕入れが安定しなかった錠前

錠前は、なかなか安定して仕入れることができませんでした。
仕入れたいのに、全然手に入らない。かと思えば急に入ってくる。

トランクに欠かせない錠前がそんな状態だったので、安定して作ることは難しかったそうです。
そんな中ではありましたが、出来たら出すといった形で細々とトランクの制作は続けていました。

しかし、だんだんヘルツの販売ラインナップからトランクは消えていってしまいます。

トランクヒストリ―3につづく

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