ヌメ革とは!?その魅力に迫る

ヌメ革とは!?その魅力に迫る
いきなりですが、プレーンな革と言われると何を思い浮かべますか。僕は「ヌメ革」です。 この「ヌメ革」という言葉、革好きの人なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? この記事では、ヌメ革についてその特徴や魅力を深掘りしていきます。 実際のエイジングの様子もご紹介させていただいておりますので、合わせてお楽しみいただければ幸いです。
L字ファスナーミニ財布(KK-38)キャメル
ヌメ革という言葉の意味については、実は明確な定義がされていないようです。 とは言え、この記事の中では以下の認識でヌメ革についてまとめていきたいと思います。

ヌメ革

植物タンニンで鞣された革。その中でも特に染色されていないものを取り上げてヌメ革と呼ぶ事もある。

筆者の印象では、多くの人がヌメ革と聞いて頭に浮かぶのは「染色されていない革」ではないかと感じています。 これもヌメ革ではあるものの、もっと広い意味では染色されたものでも植物タンニン鞣しの革であればヌメ革という言葉を使う事があります。 ゆえに、ヘルツのオリジナルレザーもヌメ革と言える事となります。 「染色されていない革」は、その他の仕上げ加工等も最低限、もしくは行わない事から、「素上げ」なんて言葉を使ったりもします。 イメージしやすい言葉だと「すっぴん」状態の革になります。 鞣し、染色等の革素材についてまとめた記事はこちら 素材について語る!~本革/天然皮革編~
𩊠キャップ
ちなみにヌメ革を漢字で書くと「𩊠」や「滑革」があります。なかなか見慣れない漢字ですし、漢字がある事に驚きました。 またヌメ革の「ヌメ」って何なのか調べて見ると、ぬめぬめしている様子が語源という説も。意味は滑らかで湿り気を帯び、光沢がある様のようです。 なんと、本店に「𩊠」キャップを被っている作り手がいます。ご来店時に見れたらラッキー!?

ナチュラルな仕上げ

ラティーゴ(キャメル)質感1
染色も透明度の高い染料で行うことが多く、生体時に負った傷やシワ等の天然素材ならではの表情が見て取れる革です。

しっかりとした質感

ラティーゴ(キャメル)質感2
タンニンの特性でもある収斂性等で繊維がギュッと締まり、重厚感のある質感に。使い込むことで繊維がほぐれ靭やかに育ちます。

経年変化・エイジングが楽しめる

L字ファスナーミニ財布(KK-38)/キャメルのエイジング比較
タンニン鞣しの革は顕著に経年変化が楽しめます。これはご使用いただく方それぞれの味で、同じものは二つとありません。 経年変化には様々な要因があり、光(日光等)の影響、手の油やメンテナンスオイルの浸透での色味の変化や艶感が増していきます。また収納物等の形が浮き出たり、金具が接触し続ける事で「アタリ」が出たりします。
ヘルツ創業者近藤
HERZのオリジナルレザーの代表的定番カラー「キャメル」。この革色は染色していないままの革が日に焼けた時の色を再現して染色しています。 1970年代後半に創業者の近藤が「ヌメ革をちょっと使ったような色にしたいな。」と、実際に染色されていない革を何枚も日焼けさせ「コレだ!」と思った色味の状態の革を革屋さんに持って行き再現してもらったとの事です。 今回、当時のお話を近藤に振り返ってもらいました。
ヘルツ創業者近藤
あるお店で見た革製品の雰囲気がすごく良くて、この革の事を店員さんに聞いたら「ヌメ革です。」と言われてね。 それで革屋さんにヌメ革ありますか?って言ったら、全然色が違ってて。 僕が最初にお店で見た革製品は日焼けしてたんだよね。 そこからヌメ革を手に入れて、外に出して日焼けさせたんだ。「七日目の焼け色」がよくてその色味にこだわって色を染めてもらって作ったのがキャメルのはじまりだよ。
ヘルツ創業者近藤
ヌメ革そのものも魅力的ではあるけど汚れやすかったりして、モノを作ったり、売ったりする事は大変な素材と感じてね。 売るために店頭に出しておけば日焼けするでしょ。かぶせが付いてる鞄なんて、開けたらくっきりと日焼け跡が入っちゃう。 お客さんに、使っていけば馴染むしこれも良い味ですよ!と説明しても 「自分で一からやってみたい。」って言われる事が多くてさ。 気持ちは凄くわかるけどね(笑)。

注意点

仕上げがナチュラル、または最小限に抑えられていることもあり、ご愛用する上での注意点がいくつかございます。

・傷

人の手の爪でも簡単に傷が付いてしまいます。 ⇒傷の程度によっては、例えば該当部分を揉み込んであげたり、固く絞ったタオルでの水拭き、メンテナンスオイル等を塗ってあげる事で「目立たなくなる」事もあります。

・水濡れ

雨や飲料、その他の水分が付着するとシミとなってしまう場合があります。また状況によっては水ぶくれとなってしまう可能性もございます。 ⇒シミの状態によっては、例えば広く水拭きしてあげることで元々のシミが暈され目立たなくなる事もあります。

・乾燥

製品を使っていく時間の経過とともに油分等は抜けていってしまいます。また寒くなるような時期には空気も革も乾燥しやすい季節です。 ⇒革の表面のかさつきを感じる前にメンテナンスを。汚れを落としてあげてから栄養補給をしましょう。

・色落ち、色移り(基本的には染色されている革)

摩擦や水分等で製品(?)自体の色落ちや、他のもの(衣服等)への色移りが起こる場合があります。 ⇒ナチュラルな雰囲気に仕上げるためどうしても色落ちや色移りは起こり得ます。革が乾燥していたりすると色落ちや色移りのリスクは高まります。日々のメンテナンスで革の状態を保つことを心掛けましょう。

・カビ

高温多湿であったり、埃等の栄養源がある状況だとカビが発生する恐れがあります。 ⇒保管する時は風通しのよい冷暗所に。ブラッシング等で汚れを溜めない事も忘れずに。

魅力

注意点だけを見るとかなり扱いの難しい革に感じるかもしれません。 ですが、他の素材(同じ革でもクロム鞣し革)と比べても顕著な経年変化を感じられるのが大きな魅力です。 実は経年変化が進むことで、上の注意点の中でも傷やシミ等については馴染み、目立たなくなったり「味」として捉えられたりするようになります。

お手入れ

定期的なお手入れはヌメ革製品を長く愛用する上でとても重要です。 使用に連れ、革の油分や水分は抜けていきます。状態を保つ(保革する)ためにもメンテナンスをおすすめします。 お手入れについても手間とは捉えず「お気に入りのものを長く愛用し続けるために向き合う時間」として楽しんでいただけると幸いです。
ワイルドメールバッグ角型(TN-7)
ワイルドメールバッグ丸型(TN-6)
冒頭でもお伝えした「染色していない革」は、実はヘルツでは以下の品番に無染色の革を一部のパーツに使っています。 例を上げると上の写真のTN-6とTN-7は、本体はタンドーソフトレザーですが、ストラップ等のパーツに染色をしていない革を使用しています。 オンラインショップ上ではその部分を「ヌメ革」と記載していますので、気になる方は見てみてくださいね。ワイルドメールバッグ丸型(TN-6) ワイルドメールバッグ角型(TN-7) 普段使いできるメッセンジャーバッグ(TN-141) ドラム型ショルダー(CK-1) お出かけミニショルダー(CP-3)
ヌメ革の経年変化
実は今回その「ヌメ革」を使ってみたい(育ててみたい)と思い、無理を言ってL字ファスナーミニ財布(KK-38)をヌメ革仕様で作ってもらい、実際に使用しています。
ラナパー塗布の様子1
ラナパー塗布の様子2
比較の為に定番の革色キャメルのKK-38(写真左)も同時に使い始めました。使用前にラナパーを塗っています。

【使用開始前】

ヌメ革の経年変化の様子(新品)
左がキャメル、右が染色をしていない「ヌメ革」です。ちなみに背景として置いている革もヌメ革です。淡いベージュのような色ですが、鞣し時に使われるタンニンの色味になります。

【ラナパー塗布後】

ヌメ革の経年変化の様子(オイル塗布後)
染色をしていないヌメ革は若干色味が濃くなりました。キャメルも油分のテカリが見て取れます。

【一ヵ月経過】

ヌメ革の経年変化の様子(1ヵ月)
ヌメ革の方はかなり色味に変化が起きました。キャメルの方も艶感が増し、両方に共通して、収納物による「アタリ」が見て取れます。

【三ヵ月経過】

ヌメ革の経年変化の様子(3ヵ月)
一ヶ月目とあまり差が無いようにも見えますが、ヌメ革にはまだらに黒ずんでいる部分もあるように見えます。

飴色への経年変化

ヌメ革のエイジングピックアップ(1ヵ月)
ヌメ革のエイジングピックアップ(3ヵ月)
ヌメ革をクローズアップ。写真左が一ヶ月、右が三ヶ月経過したものです。 ヌメ革等の経年変化を「飴色」という言葉を使って表す事があります。レザー以外にも木材が使われた家具や、炒めた玉ねぎ等にも使う割と馴染みのある言葉ではないでしょうか。 この飴は水あめを指しているそうで、かつては麦等を原料にしていることで透明感のある黄味がかった色味をしていたようです。艶感もあったのではないかと想像すると、経年変化を表す言葉としてピッタリに思います。
創業者近藤とスタッフ斎藤
ヌメ革が多くの人をとりこにしている大きな要因は経年変化が顕著で、ヴィンテージ感をかもし出したり、使い手によって多様な表情を見せてくれるところではないでしょうか。 (経年変化、エイジングについては別で記事を作りたいと思っています。) 私自身、革の中でもさらにナチュラルなイメージを持っていた「ヌメ革」でしたが、この記事を書くにあたって明確な定義は無かったものの、その魅力は再確認出来たと感じています。 読んでいただいた皆様にも少しでもヌメ革の特徴や魅力が伝わってくれれば幸いです。 余談ですが、僕は創業者の近藤とお話する機会が滅多に無く、今回かなり緊張しながらお話を聞きました。ですがキャメルの生い立ち以外にも、やっぱり革とモノ作りが好きなんだなと思えるような話題が沢山で非常に良い時間になりました。 文・編集 ヘルツ斎藤
HERZ ONLINE SHOP