村松と他の誰かのコラボレーション企画「&」、第一弾は本店の作り手:楠が登場。
これは楠のフツウトート。
ですが、時同じくして師匠:村松も自身の思い描く「普通の」トートをいくつか作っていました。
イメージとしては、袋に取っ手をつけただけ、というような原始的なトート。
好きな革を選んで、好きなサイズにして、取っ手の幅や長さも自分が持つ時に
一番気持ちいい所に落ちついた。
今回は新しいアイデアはないので、イメージをただ形にするだけ。
気負ってないし、特に見せたい所もないので、すぐできる。
結果、できたトートはつまらないくらいまったく普通なんだけど、やっぱり
好きな形をしてる。
新しい鞄をつくる時、自分の中で何か画期的なアイデアを思いついて
これはどうだ!っていうのも中にはあるんだけど、それよりも、
今回のトートのように、自分の「好き」を素直に形にできている鞄のほうが
見ていて好感が持てる。
完成度が高い、低いとはまたちょっと別で、
試作途中の未完成の鞄でもすごく「好き」って思える瞬間がある。
理由はないけどただ単純に「好き」とか「嫌い」とかってあるんです。
「工夫しない、普通」という課題の思惑としては、何も工夫しないトートを作る時に
楠は本体のサイズをどのくらいにするのか?
取っ手の長さは?つけ方は? 縦型か?横型か? 内縫いか?外縫いか?
そのひとつひとつ何を選択するのかに、楠の「好き」「嫌い」が
出てくるんじゃないかと思って。
初めは、楠が考えている間に、その比較対象として自分がイメージしてる
普通のトートを作って、楠のトートが完成したら2つの鞄を比べてみて
あーだこーだ言うつもりだったんだけど、結局やらなかった。
楠が意外にいいの作っちゃうもんだから。
「ただ形に──」と言うだけあって、できた鞄を発展させつつも、そうこうしているうちに気づけば4点・・・
連日の製作はサクサク進みました。
そして、実はもう1点、仕上がった鞄があるのです。
サンプルトートは本店で現品販売する予定です。
続く
編集と文:岡松