素材について語る!~本革/天然皮革編~

素材について語る!~本革/天然皮革編~
ヘルツでのモノづくりの素材の主役となる革。この記事ではその素材について楽しくも、深い話をまとめさせてもらいました。 そもそも革って何?扱いづらそう。等と思った事はありませんか?実は身近でなじみ深い革。この記事で素材について知ってもらい、革の魅力を少しでも感じていただければ幸いです。
革という素材について今回お話をしてもらうのは以下の二人です。
本店作り手 西川 普段は革の裁断を担当し、その革の検品の為、今は年間3回イタリアのタンナーへ出向きリアルな現場の空気をよく知る作り手。 「革の事に詳しくなると、モノ作りにも活かせると思ってます。」
オンラインショップスタッフ 斎藤
オンラインショップスタッフ 斎藤 公式HPのブログやSNSでの情報発信等を受け持つことも多い。個人的にレザーソムリエという資格を取得するほど革への興味が津々。 「正しい情報を得て、発信したいと思っています。それがお客さんにとって有益であれば尚嬉しいですね。」
エイジングの進んだアイテム達
  • オンラインショップスタッフ 斎藤 斎藤
    本日はどうぞよろしくお願いします。前々から和男さん(西川)は革についてかなり詳しいと伺っていて、今回のような記事を作るなら和男さんしかいないと思ってました!
  • 本店作り手 西川 西川
    うん。よろしくね。読んでくれる人にうまく伝わればいいね。
  • 斎藤
    いきなり説明に入るのもちょっと堅苦しいので、革の魅力についてお話していいですか? 僕はやっぱりエイジングが大好きで。素材から生まれる自然な艶、育ってる~!と陶酔してしまう色見の変化が特に魅力的ですね。(昔は革靴にワックス縫ってピカピカに磨いたりするのも好きでした。) 繊維がほぐれて(鞄等は特に)使い手にフィットするような形の変化も革ならではだと思っています。 ヘルツの鞄や小物達も、もちろんいい感じのエイジングすると思ってて。 愛用のR-93は本当に飽きずにもうすぐ10年使い続けています。ただ革色はブラックなので、色見の変化は無いですけど。
  • 西川
    やっぱり経年変化は魅力的だし、ヘルツオリジナルレザーの特徴でもあるよね。 オリジナルだからもちろんタンナー(イタリアの)にうち専用の革を作ってもらってるんだけど、表面加工は最大限に抑えて経年変化を楽しんでもらえるように調整して作ってもらってるからね。 時間をかけないと出てこない味は代えがたいし、うちのアイテムはまさに使っていって完成、時間をかけて作っていく(育っていく)。そんな感覚が好きな人にはたまらないんじゃないかな。
  • 斎藤
    エイジングって人それぞれ、千差万別あるとは思います。けど、革ってどんな素材なのかなって少しでも知ってもらえたら、「育て方」のヒントになるんじゃないかなと思って。 (実店舗には店頭にUSED SAMPLEが置いている場合もございます。ご来店の際は手に取ってエイジングを体感いただく事もおすすめです!) ヘルツの商品も買っていただいた方は永く付き合ってもらいたいですし、少しでも参考になる記事になればと思います。
    革色レッドのエイジング例
    革色グリーンのエイジング例
    ソフトダレスバッグ(BJ-68)エイジング品
    2wayガレージミニボストンバッグ(P-6-S)エイジング品
    二つ折り財布エイジング品
    二本ベルトの2wayミニバッグ(CW-67)
    ナレッジバッグ(CW-137)エイジング品
    Lionウォレット(TN-105)エイジング品
革を見る西川と斎藤
「革」とは何ですか?と問われた時、人によって異なるイメージがあるかもしれません。以下はJISから引用した内容になりますが、2024年3月から制定となり、まだまだ新しい情報です。

革・レザー

皮本来の繊維構造をほぼ保ち、腐敗しないようになめした動物の皮。 天然皮革、本革。

人工皮革、合成皮革

革・レザーを模倣した素材。
JIS規格(JIS K6541:2024 番号3.1.1 番号3.6.1 番号3.6.2)より引用
オンラインショップスタッフ 斎藤
一口に革と言っても実は奥が深いですね。上の話だと、鞣した動物の皮=革となっているみたいです。本革とか、天然皮革と言うと聞きなじみがあるかもしれません。 対して合成皮革(合皮)、人工皮革は革を模したものであるとなっています。(斎藤)
代表的なタンニン剤
先般、動物の皮を鞣したものが革(本革・天然皮革)であると説明しました。その鞣しの方法で革の種類を分ける事も出来ます。

鞣し

タンニンやクロム等を使い、皮を革という素材へ改質させる基本的な工程。

タンニン鞣し革

タンニンを用いて鞣す方法。主な植物タンニン剤にはミモザ、ケブラチョ、チェスナット等がある。 タンニンの持つ収れん性(凝固作用)や充填効果により密な仕上がり、硬く、伸びや弾性は少ない堅牢な特徴を持つ革となる。特性として吸水性が強い為、水染み等起こりやすい。顕著なエイジング(経年変化)が楽しめる。

クロム鞣し革

主に三価クロムという金属化合物で鞣す方法。普及している革の8割程度がクロム鞣し革。 柔軟で伸縮性に富む革となる。タンニン鞣し革に比べ吸水性は弱いが、エイジングは起こりにくい。

コンビネーション鞣し革

タンニン鞣し、クロム鞣しを合わせた鞣し法。それぞれの割合等で仕上がりは異なる。
タンニン剤と西川1
原皮(動物の皮)を鞣して革になるんだけど、この鞣し方法も種類があって大まかにはタンニン鞣し、クロム鞣し、コンビネーション鞣しの3つに分かれてるよ。 流通している革の多くは実はクロム鞣しの革。製造時間も短いし大量生産が可能だからね。(西川)
タンニン剤を確認する西川
タンニン鞣しとクロム鞣しとでは色々と特徴は違うけど、わかりやすいところでは経年変化に大きく差が出るよね。けどどちらも本革ではあるんだよ。 鞣し方での違いを知っていると、革製品を選ぶ時の参考になるよね。経年変化を楽しみたかったらタンニン鞣し。とかね。(西川)
鞣し剤
鞣し剤(タンニン、クロム)の一部サンプルを手に入れまして。皮から革にする中で重要な役割を持っているものだと思っています。 左の緑がクロム。他は植物タンニンで、種類毎色味が異なります。それぞれ革にする際の影響が違い、タンナーによって配合を変えているようです。(斎藤)
豚革
革は「動物」の皮をなめしたもの。牛革は流通量も多く馴染みがありますが、他の様々な動物でも革となります。特徴を合わせて一部ご紹介します。

原料皮(原皮)とは

革(レザー)の原料となる動物の皮膚のこと。大きさでスキンやハイドと呼び分けたりもする。(例:ブルハイド、ホースハイド、ディアスキン、ゴートスキン等)

銀面の凹凸が少ない。年齢や性別等によってカーフ、キップ、カウ、ステア、ブルと呼び分けられる。革製品としては最もよく使われていて、ポピュラー。

毛穴が少なく、銀面は滑らか。特徴として臀部にセル等と呼ばれる層がありこの部分を鞣した革はコードバンと呼ばれ、革のダイヤモンドと称されたりする高級素材となる。

鹿

ディアと呼ばれる。銀面を起毛させたバックスキンや油鞣しで作られたセーム革等もある。

3本の太く長い毛が革を貫通している。これが革になった時の豚特有の銀面模様となる。

成羊はシープ、子羊はラムと呼ばれる。柔らかい革ができやすい。

山羊

成山羊はゴート、子山羊はキッドと呼ばれる。密度のある柔軟な革ができやすい。

ダチョウ

オーストリッチと呼ぶ。クイルマークと呼ばれる羽毛の跡が特徴的。

他の爬虫類

ワニ、ヘビ、トカゲ等、鱗をもつ動物や、サメ、エイ、海獣等の水生動物も革となる。
豚革を見る西川と斎藤
原料には牛以外もあります。(上で紹介したもの以外にもあるでしょう。)鹿や豚は小さくて薄い革となるものが多く、ヘルツのモノづくりの用途としては牛が合っていますね。 基本的に食肉加工の副産物としての原料皮なので、よく耳にするエコでサステナブルな素材ですね。(斎藤)
オンラインショップスタッフ 斎藤
革の原料になる“皮”“スキン”“ハイド”と呼ばれます。へルツでも素材として使っている、革製品の“革”“レザー” 皮を革へ鞣したものを製品革(せいひんかく)と呼ぶ事もあり、例えば革靴用、衣料用、鞄や財布等のクラフト用、また工業用革等も含まれます。(斎藤)
西川に革の額縁を依頼する斎藤
実は斎藤、レザーソムリエの資格に合格した記念と言って西川に「革の額縁」の製作を依頼していました。(すみませんが非売品になります。)
  • オンラインショップスタッフ 斎藤 斎藤
    和男さん、先日は「革の額縁」作れませんか?なんて無理言っちゃってすみませんでした。しかも二つも(笑)
  • 本店作り手 西川 西川
    本当革好きだよね。とりあえず部分的なサンプル作ってみたんだけど。ところでレザーソムリエってどんな資格なの?
  • 斎藤
    レザーソムリエは革製品の特長や知識が得られる資格だと思いますよ。それを元にもっと色々知りたいな!って僕は思ってますね。 サンプル、早速ありがとうございます。よく見ると縁に段がありいい感じの陰影が!タンニン鞣し革の特徴でもある可塑性が活かされた作りですね!細かな所で革の魅力を感じさせてくれます。この感じで良いので作っていただけますか!?(後日、出来上がったとの連絡がありすぐに賞状を入れ飾らせてもらっています。)
    革の額縁試作サンプル
    斎藤の賞状に革の額縁
革を見る西川と斎藤
ここまでお読みいただき有難うございます。なんと、まだ続きがあります!次回はヘルツオリジナルレザーを交えながら、「牛革」にスポットを当ててお話させていただきます。
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