水シミ。
本革の鞄を使う上では避けようにも避けられない問題です。
使っていたらいつの間にかシミが出来ていた方。革製品に興味があるけどシミが出来てしまったらと思うと購入に踏み切れない方。様々いらっしゃるかと思います。
・・・いらっしゃいますよね?
シミが付いてしまった時の「どうしたら良いのか」「シミって消えるの?」そんな疑問にお答えするべく、今回は作り手を呼んで、シミの対処法について動画内で聞いてみました。
更に今回は、水シミだけでなく、気になるアルコールのシミについても実演をしながらお話ししています。
動画の内容をブログでもご説明しますので、ぜひご覧いただけましたら幸いです。
鞄についてしまった水シミ!なくなりますか?
今回出演したのは、オンラインショップの岡田と作り手の堀口。
岡田「堀口さん。このコパンタショルダー(P-8)なんですけど、使って2ヶ月位なのに底に水ジミが出来ちゃって・・・」
岡田「少なくとも1ヶ月前には付いてると思うんですけど、この水ジミを消す方法ってありますか?」
堀口「1ヶ月か・・・。ちょっと難しいかもしれないけど、やってみましょうか」
岡田「よろしくお願いします!」
堀口「まずは水に濡らしたタオルで拭いてみましょう。シミのあたりを中心にぼかすようなイメージで拭いていってもらえると良いかな」
堀口「濡れて色が変わるまで拭いてみて、可能ならちょっと革を揉んだりしてあげるとより目立ちにくくなるかも」
堀口「これでちょっと時間を置いて、乾くのを待とうか」
数分後・・・
堀口「乾きました。全体的には目立たなくなってきたけど、時間が経っちゃってるから手強いシミは完全には落ちないね」
堀口「なので、あんまり長時間放置するのはやめたほうが良いかな」
岡田「承知しました。ちなみに水拭きして乾いた後にすることってありますか?」
堀口「実は大事な工程があって、水拭きをしただけだと革が乾燥しちゃうので、ちゃんとオイルメンテナンスをして栄養を与えてあげることが大事だよ」
岡田「じゃあラナパーを塗って完了って感じですね!」
堀口「そうだね」
💡水シミが出来たときにすること
・水に濡らしてよく絞ったタオルを用意する
・タオルでシミをぼかすように全体的に拭いていく
・ムラが少なく色が変わるまで拭く
・可能であれば型崩れの無い程度に革を揉む
・革が乾いた後、オイルメンテナンスを行う
新しい水シミは消えやすいの?
岡田「コパンタショルダー(P-8)は時間が経っちゃってるから、シミが落ちなかったのかと思うんですけど、時間が経ってない新しい水シミとかだったら落ちる可能性はありますか?」
堀口「目立たなくなる可能性は高いね。じゃあ新しい革で試してみようか」
堀口「水シミを付けた3色の革を用意しました。これを今から濡れタオルで拭いていきます」
堀口「まずはレッドから。あんまり濡れてくれないね」
岡田「意外と根気強く水拭きした方が良いんですか?」
堀口「そうだね。しっかり目に濡れるように拭いてあげた方が、シミ自体は馴染んで行くかな
でもあんまりゴシゴシ擦りすぎると色が抜けちゃったりするから、適度に様子を見ながらやってもらえると良いかな」
堀口「次はチョコ。これは結構しっかり水が入っていくね」
岡田「濡れてるところと濡れてないところで、めちゃくちゃ差がある!」
堀口「最後にキャメル。キャメルはやりごたえがあるはず!」
岡田「シミのところは少し水を弾くんですね」
堀口「そうそう。シミが浮き出てくるように見えるんだよね」
岡田「水の入り方も色によって違ったりしたと思うんですけど。色ブレとかと同じで、革のロットとかによって、同じチョコ色でも水が入りにくいものがあったりしますか?」
堀口「そうだね。基本的には同じ革だけど、水の染み込みやすさも革によって違ってくるから、それによってシミの付きやすさや消えやすさっていうのも、革によって変わってきたりするかな」
乾燥後、ラナパーを塗り・・・
堀口「結構いい感じ」
岡田「馴染んだ感じがありますね!」
💡Point
・新しいシミであれば目立ちにくくなる可能性が高い
・水の染み込み方は革によって違う
・染み込みが悪いからといって強く擦りすぎず、根気強く優しく水を含ませていく
アルコールによるシミは取れますか?
岡田「さっきまでは水シミについてでしたけど、アルコールが付いて、そのシミが取れないっていうお話しもよく聞くんですけど・・・。アルコールのシミはどうやっても取れないですか?」
堀口「アルコールは無理!・・・とはいえせっかくなんで、ちょっと実践してみましょうか」
堀口「アルコールと革を用意したので、噴きかけてみますよ!
あ!ちょっとかけすぎちゃったかも・・・」
堀口「ちなみにアルコールはすぐに拭いても全然ダメなんで、試しにすぐに拭いてみますよ」
岡田「結構 水を入れてますけど消えないですね」
しばらく水拭きした後、乾燥待ち・・・
堀口「アルコールに濡れた革が乾いてきました。・・・けど、汚くなっちゃったね」
岡田「う~ん。そうですね」
堀口「やっぱり点状のシミも結構残っちゃってるし」
岡田「元には戻らなさそうな感じがしますね」
堀口「擦りすぎちゃって色も抜けちゃってるしね」
💡Point
・アルコールによるシミはすぐに水拭きしても馴染まない
・落ちないからといって擦りすぎると色が抜ける可能性あり
・とにかくアルコールは厳禁!
この後動画内では、リムーバーによってアルコールシミが落ちるかどうかの実験を行いました。
実際の実験は以下の動画よりご視聴くださいませ。
最後に
岡田「雨シミは早めに対処する」
堀口「早めに対処すると、シミが消えやすいよ。ってことは分かってもらえたかな」
岡田「アルコールが厳禁なのもわかりました」
堀口「コパンタショルダー(P-8)自体も完全にシミは落ちきらなかったけど、そのシミも一つの味というか。一つの育て方みたいな感じで革を楽しんでいけると良いと思うよ」
岡田「はい!」
堀口「ちなみに俺のスタンダードなリュック(R-4)は・・・」
堀口「底のシミはすごいことになってる!いつついたのかも知らないけど、これはこれで俺はかっこいいと思ってる」
堀口「シミも思い出になるし、鞄自体あんまり何もなくても個性無いしね」
岡田「確かにですね」
岡田「これから梅雨も始まりますけど、雨の対策をしつつ、シミが付いたら付いたときに対処するってことですね」
堀口「そうだね。たまにはメンテナンスもしてって感じで使ってもらえたらと思います!」
こちらの内容は以下のYouTube動画でもご視聴いただけますので、ぜひ御覧ください!
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